東京都教育委員長殿

JR中央線武蔵境駅から新宿駅までの沿線から都立夜間定時制高校(普通課程)を全廃する統廃合計画(案)の見直しを求めます。


【要請文】

 東京都教育委員会は、6月27日、『都立高校改革推進計画・新配置計画(案)』を発表しました。『計画(案)』の一つは、『荻窪高校(全日制・定時制)、新宿高校(定時制)、富士高校(定時制)、杉並高校(定時制)、武蔵高校(定時制)、三鷹高校(定時制)を募集停止し、荻窪高校の敷地につくられる「杉並地区昼夜間定時制高校」に統合する』というものです。
 武蔵高校はJR中央線武蔵境駅から徒歩で約10分のところにあります。三鷹高校へは三鷹駅からバスで行きます。荻窪高校は荻窪駅の近くに、杉並高校は阿佐ヶ谷駅から歩いて15分のところにあります。中野駅からバスで15分乗れば冨士高校へ行けます。新宿高校は新宿駅の近くにあります。武蔵境駅から新宿駅までの沿線には、夜間定時制高校は以上の6校しかないため『計画』通り6校全てが廃校になるとこの広い地域に普通科の定時制高校は『新配置計画(案)』の「杉並地区昼夜間定時制高校」1校のみとなります。狭く見積もってみても、武蔵野市・三鷹市・杉並区・中野区・新宿区の中から普通課程の夜間定時制高校が全くなくなってしまいます。
 これらの学校には現在、近くの職場で働きながら通っている多くの生徒がいます。正社員ではないが昼間アルバイトをして生活費を稼ぎながら近くにある夜間定時制高校で数多くの生徒が勉強しています。不登校を経験してきた子どもも近くにある学校だからこそ登校できています。このように現在夜間定時制高校に通って来る生徒はその大半が近くにある高校だから、あるいは、そこにしか入学できなかったからその学校を選んでいます。従って、いかに交通が発達したとはいえ、これだけ広い地域だけに、荻窪につくるとされている「昼夜間定時制高校」に通学することが難しい人は当然います。そして近くに定時制高校がなかったら、この人たちは高校進学を断念していたでしょう。これから夜間定時制高校に入ろうとする同じような条件の多くの人たち、中学生たちが高校進学を断念しなければならないような悲しいことは絶対にあってはならないと考えています。東京都の行政責任が問われています。
 私たちは、東京都は、高校進学を希望するものは誰であっても入学できるだけの教育施設、すなわち学校を用意する責任があると考えています。廃校と名指しされたこれらの定時制6校では今も(5月1日現在)、荻窪高校164人・新宿高校156人、富士高校48人、杉並高校104人、武蔵高校219人、三鷹高校136人の生徒ががんばって勉強しているのです。小さな学校であっても逆に小規模校であるがゆえにアットホームな温もりを教師と生徒が互いに感じることができ、元気に巣立っている生徒が何人も出てくるのだと思います。だからこそ私たちは、地域に夜間定時制高校を必要としている人々がいる間は学校を存続させてほしいと願っているのです。
 以上の理由から東京都教育委員会が以下の要請事項に前向きに応えてくれるようお願いします。


【要請事項】

1.『都立高校改革推進計画・新配置計画(案)』の中にある、『荻窪高校(定時制)、新宿高校(定時制)、富士高校(定時制)、杉並高校(定時制)、武蔵高校(定時制)、三鷹高校(定時制)を募集停止にする』計画の見直しを検討してください。

2.東京都教育委員会は各学校の関係者・教職員、保護者、生徒、地域の声を誠実に具体的に聞き、現場の希望をできる限り尊重し必要があれば『計画(案)』の変更を含む見直しを行い、よりよい『教育改革』を行うことを求めます。


2002年8月15日

都立冨士高校定時制PTA会長
都立三鷹高校定時制PTA会長
都立武蔵高校定時制PTA会長
都立杉並高校定時制PTA会長
都立新宿高校定時制PTA会長
都立荻窪高校定時制PTA会長

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