都立高校改革・新配置計画案 
 小松川高校定時制の統廃合に関する説明会を受けての質問及び都の回答


                                         都立小松川定時制を守る会
                        ( 平成14年 10月9日 質問書提出  都の回答10月21日)

 7月15日、本校にわざわざ説明に来ていただきましてありがとうございました。その時にお答えいただいたことやその後様々な場面で都教委から説明されたことも踏まえまして改めて以下の点を質問したいと思いますので、文書で回答いただきますよう、よろしくお願いいたします。

1 「新配置計画案」は長期計画の枠内だが、新たな実施計画という位置づけだとお答えいただきました。そもそもこの計画案は5月に出された「定時制高校検討委員会報告」で、全定併置校の解消と新たな昼夜間定時制独立校の設置が打ち出され、そのため数十年の歴史と伝統のある定時制が全て廃校の対象となり得ることになりました。こうした重大な結果をもたらすこととなった「検討委員会報告」についてそのものの是非を問うことを含めて、広く意見を聞くというやり方をなぜしないのですか。
 しかも、「検討委員会報告」は一般に配られておらず、定時制関係者に詳しい中身が知らされないままとなっています。「検討委員会報告」を受けて1ヶ月しかたたないうちに、「新配置計画案」が出されるというやり方も理解できません。

「定時制検討委員会報告」はプレス発表やホームページ掲載などにより広く公開しており、様々な意見を寄せていただいております。
 「都立高校改革・新配置計画(案)」は、「定時制検討委員会報告」をはじめ、「都立高校に関する意識調査」の結果、校長からのヒヤリングなど、多くの意見を参考に検討を重ねた計画案であり、また、この計画を(案)の段階で発表し、更に様々なご意見をいただき、新配置計画として決定したいと考えています。

2 「検討委員会」の報告結果だけは明らかになりましたが、その中でどのような議論がされたのかが明らかにされないのはなぜですか。
 学校関係者として現場の校長や教頭が入っているので現場の声が代弁されている旨の説明もありました。代弁しているのであれば、当然夜間定時制の必要性について報告に反映されているはずですが、そうなっていないのはなぜですか。

 必要な内容は網羅した報告書になっていると考えます。

3 全日制30人学級を見通した計画になっていないことについて
 先日の都議会文教委員会で、改革推進担当部長は「平成23年度時点で全日制30人学級を実施するためには54校不足する。」と答弁しています。現在全国的に自治体の独自の施策として30人学級が進められてきています。この間20校余りの全日制がつぶされなど、都のやり方は、近い将来においても30人学級実現の見通しを持っていない計画といわざるを得ません。この点については全く検討していないのでしょうか。
 習熟度別授業や職業科の35人学級、および定時制は既に30人学級とふれられましたが、定時制については教員の配当はその分増えているわけではありません。例えば定時制4クラスでしたら3クラス分の配当にしかなっておらず、クラスのくくりとしての30人学級です。

 高校の学級編成に関する国の基準は、定時制課程は昭和42年から、全日制課程は平成5年より40人学級です。従って、全日制課程を30人以下の学校とすることは困難であります。なお、都では、学習集団として習熟度別授業や少人数指導に対して教員を加配するなどの対応を図っています。

4 「勤労青少年が減少しているから夜間定時制の必要性は低くなっている」という説明を数字を上げてされましたが、本校の生徒の調査では、調査時点で7割の生徒が働いており、働いた経験を持つ生徒を含めると9割近くにものぼります。また働いている生徒の6割が6時間以上の労働をしています。そもそも中学卒業で正規雇用の求人はほとんどないというのが現実で、パート・アルバイトで働くうちに正社員に採用される例などがあるだけです。かつての昭和40年代と大きく変わってきたのは、経済・雇用情勢や雇用形態であって、生徒の働きたいという意思はそんなに変わっていません。むしろ働きたくても希望の仕事がないというのが実情です。全日制の生徒もアルバイトをしますが、時間帯が当然違いますし労働時間もはるかに長い、経済的事情など働く必然性も全日制の生徒に比べて高いということを見る必要があります。働きながら学ぶという意味での勤労青少年は決して少なくないのではないでしょうか。

 夜間定時制課程に通学する生徒はいわゆる「勤労青少年」が減少し、全日制課程中途退学者等多様な生徒が増加している実態から、夜間定時制課程本来の役割が変質してきています。昼夜間定時制独立校の整備は、生徒数の減少と多様化する生徒の実態に対応し、生徒保護者の新たなニーズに応え、全定併置校が抱える課題の解決を図るために必要であると考えます。

5 多様化している生徒の現実については、不登校経験の生徒や全日制中退者・ハンディを持った生徒・外国籍の生徒などさまざまであることがおわかりのことと思いますが、果たして一つにまとめられた昼夜間定時制で全て受け入れが可能とお考えでしょうか。
 大規模ではないとお答えでしたが少なくとも本校に比べたら極めて大きいし、そういうことでいけないという生徒も、遠くて通えないという生徒も当然予想されます。また入ってもなじめずにやめるか転校するというケースもあり得ます。むしろそうなった時、近くに適当な定時制がないため行き場がなくなってしまうという問題が深刻です。こうした問題はどうお考えでしょうか。
 一つにまとめて効率的に生徒にニーズに合わせて多様な教育課程を用意するというお考えですが、現実の生徒はニーズを持った生徒ばかりとは限りません。それ以前の問題を抱えて、例えば如何に友達関係をつくって居場所を見つけるかと悩む生徒もいます。こうした生徒を視野に入れて学校の在り方を考えるなら、地域にたくさんある夜間定時制のありようを否定出来ないと思えますがいかがお考えでしょうか。

 地域バランス、交通の便等様々な通学条件を考慮した上で、配置を考えた案であります。

6 「全定併置校の弊害」について、全定どちらから見ても弊害だとお答えでしたが、戦後数十年全定併置でやってきた現状を考えると私たちは都教委がいう「弊害」は解消出来ると考えますが、仮に解消できない「弊害」だとして全日制にとって見れば定時制がなくなることによって制約されなくなることから解消できると考えるのは最もですが、定時制にとって3部制になったことによってそれぞれの部の間の「弊害」はむしろ大きくなると考えるのが普通です。具体的にどう解消されるというのでしょうか。

 先行実施校の例などを参考に今後検討することになりますが、「弊害」は解消ないし今よりは少なくなると考えています。

7 自転車や徒歩で30分以内で通う生徒が圧倒的に多い本校では、台東地区の昼夜間定時制には通えない生徒が多数出るという指摘に対して、千代田地区か江東チャレンジか江戸川・葛西南があり、あくまで生徒が選ぶとのお答えでした。江東チャレンジは夜間1学級で、深川や東からの生徒とも競合し、江戸川・葛西南は現在定員いっぱいかそれを越えている現状でしかも、小岩の生徒とも競合し、近くに行き場はないといえるのではないでしょうか。
 計画自体がこれでは数字上合わせただけで、生徒の実情を考慮していないといえるのではないでしょうか。

 様々な条件を十分加味した計画になっていると考えています。

8 本校「守る会」は、上野・両国・墨田川・小岩の各定時制「守る会」とともに都議会に存続を求める陳情を出しています。しかし審議されるのは11月半ば以降ということで、もしこれ以前に計画案が決定されたら、こうした学校関係者や地域の声を考慮して検討する機会を与えないやり方といえると思いますが、少なくとも都議会で審議する時間は保障すべきだと考えますが、いかがですか。
 1次・2次の計画について都民から支持されているという説明で、陳情・請願は都議会で採択・不採択という形で決着をつけていると話されました。つまり計画を拙速に決めないよう求める、あるいは計画の見直しを求める陳情・請願は不採択になったから、計画は支持されているという解釈でしょうが、決定された後に計画見直しの陳情・請願を審議しても果たして採択という結論になり得るのでしょうか。一般的に考えれば、計画決定後に計画見直しを決めることはほとんどあり得ないでしょうし、審議の対象すらなりにくいはずです。そうした採択が不可能に近い状況の下、不採択だからといって計画が都民から支持されているという根拠には当然なり得ないと考えますがいかがでしょうか。

 都議会に対しては、先般開催された文教委員会で都立高校改革推進計画について報告を行い、質疑が行われたところです。また、請願・陳情についても、これまでもそして今後も、十分に審議していただけるものと考えています。


9 「都立高校長期構想懇談会の答申にあたって(座長談話)」では、「改革の具体的実施にあたっては、様々な形で工夫して、保護者、学校関係者、地域の意見などを幅広く聞く機会を持ち、関係者の理解の下に施策を展開するよう努めること。」とあります。具体的実施計画案について、関係者の理解が得られたとお考えでしょうか。計画案を10月に決定しなければならない理由は何ですか。

 計画案については、現在、学校関係者等多くの皆さんからご意見をお寄せいただいております。今後とも多くの皆さんのご理解をいただけるよう努めてまいります。

10 計画全体の責任者はどなたでしょうか。平成22年度で完了する長期計画ですが、その間一貫して同じ方が責任者として計画の実施を見守りながら、結果について責任をとる体制になっているのでしょうか。高校改革が結果として都民から支持を得られない、批判を受けるものとなった場合の責任の取り方はどのようなものでしょうか。

 都立高校改革推進計画は、東京都教育委員会として策定いたします。

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