長としての人の存在 投稿者:田井正博  投稿日: 8月25日(水)02時30分12秒

 この度の定時制統廃合の問題におきましては学校の最高責任者である校長先生の立場にひじょうに疑問を感じております。
 私が大学に入学したのはすでに30年以上も前のことですが、当時はまだ学生運動の余韻が漂っていました。東京理科大学の神楽坂に一度だけ機動隊が押し寄せて来たことがありました。その時、ごく普通の学生が機動隊の迫力に動転し、彼らの前によろけながら倒れ込んでしまいました。すると、機動隊は彼に向かって群がり、警棒でいっせいに叩きはじめました。その時でした。学長が機動隊の群れをかき分け、彼のそばに突き進み、彼の上に覆い被さったのでした。私は長の長たるべき姿に感動しました。どの世界であれ、長たるものはつねにこうあるべきだと今も確信しています。
 この度の統廃合の問題を我が母校の両国高校の最高責任者である校長先生がどのように考えていらっしゃるのかと思いホームページを調べてみました。まず、全日制の方を見ますと、中高一貫校に移行すると決定された段階でPTA関係の方々が教育委員会に陳情に行っていることが分かります。陳情の内容は公開されておりませんので明らかではありませんが、その後、前校長先生が「伝統ある両国の名前は残りますので安心下さい」とおっしゃっていることから、おおよその見当は付きます。また、「スクールプラン実施報告書」を読みますと、総合評価の(4)でクラブ活動について「・・・定時制の併置校であるため、時間的にも場所的にも非常に窮屈な活動であった。その割には、よく努力したと評価できる」と定時制を母校とする私たちにとってひじょうに屈辱的な文章が書かれているのです。
 それでは定時制の方はどうかと調べますと、現校長先生が「学校経営計画」の中で、統廃合問題について「平成18年度の校舎移転へ向けて、全教職員が連携・協力し、生徒・保護者との十分な意志疎通を図っていく」と、教育委員会側の立場に立った意見を述べていらっしゃるのです。
 全日制の方々には校舎は残ります。であるにもかかわらず、「両国」の名前だけは何とか残して欲しいと教育委員会に陳情に行けば、前校長先生は名前は残りますからとおっしゃっているのです。定時制はどうでしょう。校舎はもちろん、名前も失ってしまうのです。私たちが母校としての定時制の「両国」を失うことの悲しみを校長先生にはどのように受け止めていただけているのでしょうか。
 機動隊が当時の時代の流れの一部であるとすれば、統廃合問題は現代の時代の流れの一部だと思います。その波に私たちのような悩める者の群れが飲み込まれようとしているのです。校長先生に理科大の学長の果敢な行動を重ねるのは酷でしょうか。校長先生にそれを求めるのは酷であるとするのも時代の流れでしょうか。
 大変失礼ではありますが、正直に申しますと、校長先生とは、私たちの時代にそうであったように、「教育者」なのか、それとも時代の変化によって「経営者(?)」になっているのか理解出来ません。これは皮肉などといったレベルの問題ではなく、本当に分からないのです。この結果として今回は意見を書かせていただきました。

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