「総武線沿線夜間定時制高校の教育を考える会」

「総武線沿線地域の生徒の学習機会の確保のため夜間定時制高校4校の募集停止の延期を求める陳情」

                                                              2005年 9月

東京都議会議長 殿

<陳情事項>
 東京都において、総武線沿線の墨田・江東・江戸川地域にある都立夜間定時制高校の平成18年度生徒募集に際し、希望する生徒の学習する機会を保障するため、募集停止が予定されている夜間定時制4校(両国・墨田川・小岩・小松川)の募集停止の延期を東京都教育委員会に要請していただきたい。

<陳情理由>
 昨年の入試で大江戸高校の開校に伴って、まわりの夜間定時制3校の募集停止がされたため、墨田・江東・江戸川地域にある夜間定時制の二次募集に応募者が殺到し64名の不合格者が生まれました。さらに今年の入試でも総武線沿線地域の夜間定時制の一次二次募集に多くの応募者があり、引き続き一部定時制に不合格者が出るなど、ほぼ各校定員一杯の状態にあります。 
 来年度、台東地区昼夜間定時制高校が開校する時には極めて深刻な事態が予想されます。もともと江東・江戸川地域から台東地区に通える条件の生徒はほとんどいない上に、総武線沿線で4校の定時制高校が同時に募集停止になれば、一度に180名の募集枠がなくなり、総武線沿線で残る普通科定時制は江戸川高校のみで60名定員の募集枠しか残りません。多くの生徒が全く行き場を失って結果的に高校進学をあきらめてしまう事態が危惧されます。こうしたことから中学校の現場や地元地域住民から心配と不安の声が高まっています。現在夜間定時制高校には、様々な事情や経歴を持った生徒が通ってきています。近くにあって家庭的な雰囲気の夜間定時制だから通えるという生徒も多くいます。こうした生徒の学習する機会を保障するためにも、決まった計画だからと一律に募集停止や廃校にするのではなく、新たな事態に適切に対応出来るよう該当校関係者や地元の意見を十分聞き、生徒受け入れ枠確保ため募集停止時期の延期等、十分な対応措置を講ずるよう陳情いたします。

                       総武線沿線夜間定時制高校の教育を考える会   世話人代表  高橋 彦博


 →陳情書(署名用紙)(A4版、PDF)
  (送付先が不明とのご指摘があり、9/20に送付先明記のものに差し替えました。以前の陳情用紙も有効です。)

 最終集約は、11月15日頃までにお願いいたします。

●「総武線沿線の会」の取り組み報告(〜2005年6月)

 昨年、総武線沿線地域(墨田・江東・江戸川)で新たなチャレンジスクールの開校に伴って3校の夜間定時制が募集停止になりました。新たに立ち上がったチャレンジスクールへは多数の応募者があり、そこに入れなかった生徒たちは、そのまわりにある夜間定時制の二次募集に殺到する状況となりました。墨田・江東・江戸川地域の10校の定時制のうち6校で定員を超え、合計で64名の不合格者が出ました。こうした事態を受け、今後台東地区昼夜間定時制が開校する時には、さらに深刻な事態が危惧されるため、地域で定時制高校の統廃合反対に取り組んできた該当校の保護者・卒業生・教職員や地域の中学校関係者が集まって、昨年10月3日「総武線沿線夜間定時制高校の教育を考える会」を結成しました。

 直ちに都議会に「総武線沿線地域の夜間定時制高校を希望する生徒の受け入れ枠確保を求める陳情」を提出し、都議会各会派へ陳情採択の要請を会として行い、陳情署名を11月末までに2,257筆集めました。

 また、11月20日には地域で江戸川の子どもと教育を守る区民連絡会主催の「子どもと教育を語る区民の集い」が開かれ、会として構成団体に加わり、「中学・高校の分科会」で定時制統廃合問題を報告しました。参加した保護者からは「はじめて知った。」という声や中学の進路担当の教員からは、「20年来はじめて定時制で不合格になった生徒が出た。」という発言もありました。

 11月26日には、都議会文教委員会が開かれ、陳情について審議されました。その中で、「生徒の増減をよく見通して、就学できない生徒が出てきてしまう場合には、臨時で学級増をしたり計画を1年先延ばしにするなど柔軟な対応が出来ないのか。」という委員の質問に都教委は、「定時制二次募集の都全体の倍率は、0.59倍で最終的には希望者は受け入れられていると考えている。」と地域的な実情を見ない答弁でした。また、「都が進めている都立高校改革は、ローカルな条件を生かして進学しようとしている子どもたちの希望をおさえる結果になっていないか。」という質問には、「前年度までの深川商業・深川高校・東高校の募集枠が開校した大江戸高校に移り、大江戸高校の応募倍率が高倍率となって結果として二次募集枠が少なくなった。大江戸高校の後期募集に多くの応募者が集まり不合格者が多く出たことが大きい。」と都教委はまわりの定時制二次募集で不合格者が多く出た原因として認めました。「18年度台東地区の学校が開校に伴って、小岩・小松川などが募集停止になる時、大江戸高校で起きたことのさらに大規模な影響が広がると考えられるが。」という質問には、「19年度には、昼夜間など11校体制が完成するので、倍率等平準化される。」と回答をそらしました。さらに「総武線沿線という場合だけとれば数が合っていない、今年起きた出来事からいって非常に深刻だというふうに思うが。」との追及に、「17年度には六本木、一橋高校が開校し、交通の至便性も含めて東部地域では緩和されていく、平準化されていくと考える。」と都教委は、その時に予想される事態について回答を避けたままの答弁に終始しました。結局、文教委員会での審議をへて採決の結果、残念ながら賛成少数で陳情は不採択となりました。

 今年になって3月に「総武線沿線の会」を開き、両国の教育実践の報告を受け、定時制の現場の様子を知る機会を持ちました。また、陳情の不採択を受け今後の運動をどうするか、05年度の入試状況分析など意見交流しました。3月27日には、都立定時制高校を守る会連絡会主催の3・27集会に参加し、「総武線沿線の会」の活動報告を行いました。

 6月11日には、「総武線沿線の会」の6・11集会を開きました。チャレンジスクールの実情を知るために、大江戸高校と世田谷泉高校から現場の先生を招いて学習する機会としました。カリキュラムの中身や不登校経験の生徒の割合、入ってきた生徒の満足度、各部の違い、年次による特徴など生徒の状況も知ることができました。大江戸高校に在籍する生徒は都内全域から通っておりその57%が墨田・江東・江戸川区在住の地元の生徒で、この割合は他の夜間定時制に比べると低いこともわかりました。

 05入試を終えて、今年度の入試では定時制二次募集で昨年ほど多くの不合格者は出ませんでしたが(今年は8名)、一次二次募集で多くの応募者がありほとんどの夜間定時制で定員一杯の状態にあります。来年、この地域で両国・墨田川・小岩・小松川4校の定時制が一度に募集停止になると180名分の募集枠が減り、台東地区に通える条件の生徒は極めて少ないということを考えると、高校進学をあきらめる生徒が相当出ることが危惧されます。

 今後の取り組みとして、今年の秋に予定されている来年度就学計画の中で募集停止校の決定がされることになっており、そこに向けて都教委要請や募集停止の延期を求める新たな陳情を新しい都議会での採択をめざして、陳情署名の運動を取り組むなど現在検討中です。
                     事務局  横川 秀博 (小松川定時制)


*「総武線沿線の会」取り組み日誌(04年10月〜05年6月)
<2004年>
10/03  「総武線沿線夜間定時制高校の教育を考える会」発足(17名参加)
10/05  都議会に「総武線沿線地域の夜間定時制校区を希望する生徒の受け入れ枠確保を求める陳情」を提出
10/12  定時制守る会連絡会の文部科学省要請(10:00〜)
10/27  対都教委、就学計画交渉(組合)
10/29  定時制守る会連絡会、都教委要請(11:00〜)
11/11  都議会文教委員会  10:00〜 各党要請
11/12  両国定時制守る会、都教委要請
11/20  江戸川区民の集い(13:00〜松江五中)定時制守る会連絡会拡大幹事会
11/26  都議会文教委員会陳情審議(13:00〜) 提出署名1869筆
<2005年>
01/15  定時制守る会連絡会拡大幹事会
01/23  5・6学区定時制説明会(13:00〜曳舟文化センター)
02/19  定時制守る会連絡会拡大幹事会
02/20  首都圏定時制統廃合反対集会(横浜)
03/13  定時制守る会連絡会拡大幹事会
03/19  総武線沿線の会(10:00〜 カメリアプラザ)両国定時制の実践報告 入試状況について
03/27  定時制守る会連絡会主催「定時制の火を消さない3/27集会」(14:00〜 カメリアプラザ)
04/16  総武線沿線の会事務局会議(10:00〜 錦糸町)
04/23  定時制守る会連絡会拡大幹事会
05/14  総武線沿線の会事務局会議(10:00〜 カメリアプラザ)
05/21  定時制守る会連絡会拡大幹事会
05/28  総武線沿線の会事務局会議(10:00〜 新松戸)
06/11  総武線沿線の会6・11集会(18:00〜 カメリアプラザ) 大江戸・世田谷泉からの報告 (13名参加)
06/18  定時制守る会連絡会拡大幹事会


「総武線沿線の会 6・11集会」 2005/06/11(土)18時〜21時
  場所、江東区亀戸文化センター「カメリアプラザ」(総武線亀戸駅下車1分)
   今年の入試状況、中学の現状、夜間中学から、チャレンジスクールの現場から、他
  →→ 案内チラシ(PDF)

●集会
  2005年3月19日(土)10:00〜12:00
  江東区亀戸文化センター カメリアプラザ9F 商工情報センター研修室

    (内容) *定時制高校の現場から(教育実践)
          *今年の1次入試の状況
          *中学校からの報告
          *今後の取り組みについて



「総武線沿線の会」都議会陳情の取り組み報告(2005/03/07)

昨年10/3に設立集会を開いて、発足した「総武線沿線夜間定時制高校の教育を考える会」(略称「総武線沿線の会」)は、「総武線沿線地域の夜間定時制高校を希望する生徒の受け入れ枠確保を求める陳情」を10/5に都議会に提出しました。
 04入試で、総武線沿線地域(墨田・江東・江戸川)の定時制2次募集に応募者が殺到し不合格者が60数名生まれ、結果的に高校進学をあきらめた例まで起こっている問題に対して上記の陳情署名を地域に呼びかけて取り組んできました。都議会に提出した署名数は1,869筆分ですが、その後も集まった署名も含めて2,257筆になりました。また、都議会各会派文教委員へ陳情の要請に資料をもって行いました。

 11/26の都議会文教委員会で陳情が審議され、公明・共産・生活者ネットの3会派の委員から発言がありました。おもなやり取りは以下の通り
*墨田・江東・江戸川地域で高校進学を希望しながら進学できなかった生徒はどのくらいいるか。 ────定時制は、普通科6校・専門科4校あり2次募集で64名が不合格となっている。*生徒数の増減をよく見通して、就学できない生徒が出てきてしまう場合には、臨時で学級増をしたり計画を1年先延ばしするなど柔軟な態度が出来ないのか。────定時制2次募集の都全体の倍率は0.59倍で、最終的には希望者は受け入れられていると考えている。
*都が進めている都立高校改革は、ローカルな条件を生かして進学しようとしている子どもたちの希望を抑えるという結果になっていないのか。 ────前年度までの深川商業・深川高校・東高校の募集枠が開校した大江戸高校に移り大江戸高校の応募が高倍率となって結果として2次募集枠が少なくなった。大江戸高校の後期募集に多くの応募者が集まり不合格者が多く出たことが大きい。
*18年度台東区の学校が開校に伴って小松川・小岩など募集停止になる時、大江戸高校で起きたことの更に大規模な影響が拡がると考えられるが。──── 平成19年度には、昼夜間など11校体制が完成するので、倍率等平準化される。
*総武線沿線という場合だけとれば数が合っていない、今年起きた出来事からいって非常に深刻だというふうに思うが。 ─── 17年度には六本木、一橋高校が開校し、交通の至便性も含めて、東部地域では緩和されていく、平準化されていくと考える。
*両国定時制は、募集停止時期に台東地区に移転になるが、通学条件・距離の上で問題ではないか。 ────影響を受ける生徒については十分な配慮しなければならない。生徒に意見は校長を通じて把握していきたい。交通事情については交通利便なところに配置している。
*墨田区・江戸川区から出された意見書について、どのように議論し受けとめられたのか。 ────教育委員会に報告し、議論の時に参考としている。地域から出された要望・要請は真摯に受けとめ可能な限り反映できるものは反映させていくという立場である。
*国連子どもの権利委員会が、都の定時制統廃合計画について再検討しかつ代替的形態の教育を拡大するよう奨励することとあり、計画実施にあたって何らかの不利益を直接受ける生徒の意見を尊重すべきと思うが。──── 影響受ける生徒に対して十分な配慮をしていかなければならないと考える。生徒の意見については校長を通じて把握していきたい。

 以上の審議を経て採決の結果、賛成少数(共産・生活者ネット・自治市民)で陳情は不採択となりました。

 今回の総武線沿線地域で定時制2次募集で不合格者が出るほど応募が殺到した原因は、大江戸高校開校に伴う3校の定時制の募集停止と大江戸高校を受けた生徒の大量の不合格者が出たことによることを都は認めました。しかし、こうした事態が今後台東地区昼夜間定時制開校時に更に危惧されることについては、「平準化される」と限定された地域と時期を全都的な広がりと長期間の問題にすり替えて答える姿勢に終始しました。また、100校余りの定時制を統廃合や改編で新たな昼夜間定時制を含めて55校に減らす都の計画は、利便性という生徒のニーズを犠牲にしたやり方であることがますます明らかになりました。
 この結果を受けて、「総武線沿線の会」では、05入試の情況をみて、新たな陳情の取り組みなど今後の運動を検討していく予定です。
 これまで、署名にご協力いただきました各地域団体・個人の皆さまには、大変お世話になり、ありがとうございました。

                        「総武線沿線の会」事務局  横川 秀博(小松川定)

●設立へ向けて(2004/10)


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