夜間定時制の統廃合をやめ、一層の振興を求める要請書


 貴委員会におかれましては、東京の定時制教育の発展にご尽力を戴きましてありがとうございます。
 貴委員会は、六月二十七日「改革推進計画・新配置計画(案)」を新たに発表されました。貴委員会はこれまで、私達の度重なる要請にもかかわらず、「改革推進計画」により、「第二次実施計画」までで三十一校の夜間定時制が統廃合や単純廃校されるという大規模な改革を実施してきたところであります。これに加えて今時「新配置計画(案)」では、更に三十三校の夜間定時制高校を統廃合するというものです。この計画が実施に移されれば山手線の環内から夜間定時制高校が一校のみになり、多く区が区内に一校の夜間定時制高校もなくなります。また、三学区では普通科の定時制高校がなくなり、大島南分教場の来年度廃止など、余りにも性急な進め方と考えざるを得ません。
 既に近くの定時制高校が募集停止になったために、残された定時制高校に応募が集中し、定員オーバーのため定時制高校の不合格者が出ています。また、地域に通う高校がなくなり、通学を諦めたり他の定時制高校に長時間をかけて通学せざるを得ない生徒もいます。
 更に貴委員会が設置された「定時制検討委員会報告」によれば、将来的に全定併置を解消するとして、実質的にも夜間定時制高校の全廃の方向が打ち出されています。しかし、この十年間に都内中学卒業生が四万三千人も減っているのに、夜間定時制高校の第一学年生徒数は四千人前後(5月1日在籍)と減ってはいません。夜間定時制高校を必要とする生徒は減っていないのです。子どもたちの学習権を守っていく上でも由々しき事態といわざるを得ません。
 私たちは、勤労者・「登校拒否・不登校」経験者・在日外国人・ハンディキャップを持つ子どもたちが、何らかの形で働くことを中心に、比較的小規模で多様な集団の中で成長していく、定時制教育の良さを守っていきたいという立場から、毎年のように「定時制高校の統廃合をやめ、一層の振興を求める」旨の要請を行ってまいりました。
 今、是非とも実施していただきたいことは、このような「新配置計画(案)」を根本的に見直すと共に、現在の夜間定時制高校を充実させることです。そして教育行政が保護者・生徒の声を真剣に受け止めることです。
 「生徒急減期は教育条件改善の絶好のチャンス」と貴教育委員会自らいわれていたことを考えれば、この機会に是非とも定時制教育の振興に一層の努力をお願いいたします。
 特に左記の項目につきまして早急に実施・改善されますよう強く要望いたします。

                   記

一.「新配置計画(案)」に基づく夜間定時制の統廃合をしないこと。
二.「改革推進計画」を抜本的に見直すこと。
三.在校生に直接影響する大島南分教場の廃止は行わないこと。
四.「定時制検討委員会報告」を抜本的に見直し、夜間定時制の教育的意味を位置づけること。
五.「改革」や統廃合の計画、あるいは「学校のあり方」などについて、保護者や教職員の意見を尊重し、都民に開かれた教育行政を進めること。
六.定時制高校の生徒定員を現在の「三十人学級」から「二十人学級」とすること。
七.教職員の定員を減らさず、むしろ増やすように計画を策定すること。
八.募集停止基準や学級定数基準を改善し、生徒募集の制限をやめ、就学の時期や機会を拡大すること。
九.その他、定時制の教育条件を改善し、夜間定時制の振興策を策定すること。

二〇〇二年七月三一日

「都立定時制高校を守る会」連絡会
代表  近藤みつる
  東京都三鷹市○○○○○

東京都教育委員会
教育庁 横山洋吉殿

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