定時制高校の統廃合をやめ、いっそうの振興を求める要請書

 貴委員会におかれましては、東京の定時制教育の発展にご尽力を頂きましてありがとうございます。
 貴委員会は、私たちの度重なる要請にもかかわらず、一昨年十月二十三日、新たに十三校の定時制高校を統廃合する「新配置計画」を策定されました。九十七年の「第一次実施計画」、九十九年の「第二次実施計画」と合わせると四十四校の定時制高校が統廃合や単純廃校されるという大規模なものです。これによって、山手線の環内には普通科の定時制高校が、新宿山吹高校以外なくなってしまいます。
 私たちは、勤労者・全日制中退者・在日外国人・不登校経験者・ハンディキャップを持つ子どもたちが、多様な集団の中で成長していく定時制教育の良さを守っていきたいと思っています。
 昨年度も私たちの真摯な要請に対し、具体的な対応としては何一つ改善されることなく推移して来ました。しかし、昨年以来少なくとも四つの点で、事態の変化があったと思われます。
 その一つは、長期不況の中で定時制志望の生徒の割合が増えていることです。計画策定時に貴委員会が想定されていた事態とは変化してきていることは、貴委員会が発表されている資料によっても明らかと言わなければなりません。
 その二つは、六学区の定時制や第四学区の一部で生じている入学希望生徒の急増があります。特に六学区では大江戸高校の新設の影響か、昨年の入学試験では一次、二次の受験者が急増して、学区内の定時制一年生の在籍数が定員を上回っている事態になっています。それは定時制にも入学できない受験者が生じていることを意味していますが、そうした子どもの学習権が侵害されていると言わざるを得ません。
 その三つは、荻窪校舎の耐震補強工事など、実際に在校生いる中で期日通り、安全性を確保できるのかといった疑問が浮上してきていること、また、一橋高校では、全日制の最後の学年の生徒がいるのに昼夜間高校を開設することで、全日制の生徒は四五分授業で行わざるを得ず、全日制の生徒に明らかに不利益になります。貴委員会がこれまで在校生に迷惑はかけないとしてきたことと矛盾する事態が出てきています。
 その四つは、今年初めに出された国連子どもの権利委員会の日本政府への勧告や東京弁護士会の意見書についてです。国連の勧告はこれが世界のスタンダードであることを示していますし、東京弁護士会の意見書も東京都民の良識を示しているものと思われます。
 このような計画策定時には想定されなかった新たな事態を踏まえ、教育行政が保護者・生徒の声を真摯に受け止め、計画の見直し、再検討が必要です。以下の項目について要請いたします。

                 記

一、「改革推進計画」とその「新実施計画」を中止・延期を含めて抜本的に見直すこと。新たな統廃合をしないこと。
二、「改革推進計画」に基づく募集停止は、生徒の学習権を保障するため、学校関係者や地元と十分に協議すること。特に応募生徒数が増加している学校・地域については当面募集停止を延期すること。
三、両国・小石川など在校生の通学先変更は行わないこと。
四、一橋や荻窪など生徒の安全性や教育環境に重大な疑義が生じている学校については、開設年度の延期など実施計画の変更を行うこと。
五、募集停止校で十分な教育条件を確保するため、教員定数の激減緩和等教育条件整備に特別な配慮をすること。
六、定時制高校の生徒定員を現在の「三〇人学級」から「二〇人学級」とすること。
七、教職員定数を減らさず、むしろ増やすように計画を策定すること。
八、定時制高校の募集対策を充実し、定時制PRの中身を更に改善しより効果のあるものにすること。
九、生徒募集時期の制限をやめ、就学の時期や機会を拡大すること。
十、定時制教育予算を増額すると共に、全ての生徒が制限なしに補助金を受けられるよう都独自の措置を講じること。
十一、給食のグループ方式をやめ、自校方式に戻すこと。
十二、「国連子どもの権利委員会」第二回勧告、並びに東京弁護士会の意見書を尊重すること。
十三、「改革」や統廃合の計画、あるいは、「学校のあり方」などについて、保護者や教職員の意見を尊重し、都民に開かれた教育行政を進めること。

二〇〇四年十月二十九日
                             「都立定時制高校を守る会」連絡会
                                     代表 森 光 男

東京都教育委員会 教育長 横山 洋吉 殿


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