要請書(2008/09)


 私たちが指摘し続けてきたように、都教委の「改革推進計画」によって、とりわけ夜間定時制が大きな影響を受けています。夜間定時制高校の急激な統廃合に伴い、定時制にも入学できない生徒が急増したことは子どもたちの学習権を侵害するものとして放置できない状況にあります。08年度入試の定時制二次募集では、取り下げ、再提出制度を取り入れたことなどにより、表面的には倍率が下がったようにも見えますが、依然として二次募集でも入れない中学生が出ました。八王子拓真も高倍率が続いており、落ちた生徒が多摩地区の定時制の二次募集に殺到するという構図は変わっていません。その中で、多摩地区の立川高校では、今年始めて新入生の中で八王子地区出身者の数が一位を占める事態になっています。

 現在、日本の格差拡大や貧困層の増大が問題となり、その克服が社会的な課題となっています。そういう中で、教育の場での格差を拡大・固定化するような事態を克服することは、行政当局にとっても放置し得ない焦眉の課題になっていることは明らかであり、そうした観点から「改革推進計画」を総括することがまさに必要になっていると考えます。以上の観点から、以下の点について要請いたします。

                  記

一、八王子拓真の高倍率は続いており、八王子地区での募集定数が希望者に対して絶対的に不足している事態は変わっていません。八王子地区における定時制の募集枠を拡大するなど、何らかの措置を講じてください。

一、08年度入試における不合格者の追跡調査を教育行政の責任で行ってください。

一、不登校生徒を対象とするチャレンジ高校は、例年数倍の倍率となっており、不合格の生徒が大量に出ています。これでは、「再チャレンジ」をめざす不登校生徒の必死の思いに答えることはできません。文部科学省が8月上旬に発表した学校基本調査でも、小、中ともに不登校の生徒が増加していることが示されています。不登校の生徒に対する抜本的な対応策を求めます。また、今でも不登校の生徒を受け入れている夜間定時制の積極的役割が、都民には十分に知らされていません。以前都教委は、夜間定時制のもつ役割を都民に向けて大きくPRしてきた時期があります。それを再開し、夜間定時制の意義を、都民に十分徹底する方策を早急に講じてください。

一、 今年度から、武蔵定時制が荻窪高校に「移転」という形になりました。それに伴って、学校を辞めざるをえない生徒が出なかったかどうか、また移転に伴う問題点をどう把握しているのかを明らかにしてください。

一、夜間定時制を大規模に統廃合してきた「改革推進計画」をはじめとする諸政策に関して、都教委としての現時点での評価と総括を明らかにしてください。

一、現在、多くの私立の「広域通信制」が東京に進出しています。何校の「広域通信制」が進出しているのか、都内在住者でこれらの学校にどの程度の人数が在籍しているのか、把握している限りで明らかにしてください。

一、定時制給食に関して、外部調理方式(デリバリー方式)が二年間の試行期間に入り、今年がその二年目です。来年度以降の本格実施をやめて、自校方式の給食に戻してください。

一、その他、定時制教育振興のための方策を一層充実させてください。


都立定時制高校を守る会・連絡会
                               代表 森 光男

東京都教育委員会 教育長殿

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